黄金比その1 “From Alexandria with Love”

*タイトルの”From Alexandria with Love”は007シリーズの『ロシアより愛を込めて』を捩ったものでボンドさんと黄金比は一切関係ありません。

という事で、授業を始めましょう。
Gorlden Ratio=黄金比=黄金律=黄金分割、みんな同じです。
美大で必ず教えているはずです。美大出でこの言葉を知らない人は授業をさぼっていた人。
言葉を知っていても何か分からない人は僕と同じで授業中寝ていた人です。

僕が黄金比について調べ始めたのは15〜6年くらい前オランダのハーグにある国立近代美術館
から「Gorlden Ratioの作品を集めた展示を企画しているのであなたの作品、YELLOWSを
を出展してくれないか」と言う依頼のEメールからでした。

「Gorlden Ratio?」ネット辞書でGorlden Ratio=黄金比=..という事がわかったのですが授業中寝ていたので何の事か分からない。
Wikipediaからネットサーフ。やればやる程ルーピー状態になる。
その理由はそのサイトによって言ってる事が違うからです。
「そんな分けない」って?「そんなことあるんです」。
それは、サイトの管理者が数学者か美術史研究者かでその解釈が違うからです。
そこで、、、アマゾンで関連書籍を手当たり次第にオヤジ買い。

アマゾンでオヤジ買いした中の2冊を紹介します。
オヤジ買いと言っても全部で十数冊。
と言うのは数学関係で黄金比についてだけ書かれた書籍がないのです。
外国には沢山あるでしょうが翻訳された書籍がないのです。
日本語でも分からないのに英語で分かる訳がない。

その中で翻訳され黄金比について書かれた書籍が推薦する本です。
マリオ・リヴィオ著「黄金比はすべてを美しくするか?」早川書房。

著者のマリオ・リヴィオさんは宇宙物理学者でNASAの科学部長を勤めた人です。
同じく著書にシンメトリーについて書かれた本があります。

美術評論家(美術史家)の関連書籍は一冊だけ。
柳 亮(明治36年生〜昭和53年没)「黄金分割」(ピラミッドからル・コルビジェまで)美術出版日本最初の美術家評論家です。
この著書の初版は平成6年となって いるのでたぶん没後、柳さんの研究文献を出版する事になったのだと思います。
日本の黄金分割研究の第一人者で僕の母校(日芸)の初代美術学部長です。
(昭和7年)著書に「続・黄金分割」(日本の比例 法隆寺から浮世絵まで)がありこの中で白銀率について書かれています。

本題に入りる前に結論を先に書きます。
皆さんも長い推理小説読んでると「先に犯人書けよ」と言いたくなるでしょ。
「そんなのおまえだけだ」って?これは失礼しました。
結論と言うかテーマと言った方がいいでしょう。
美術評論家が黄金比を語る時の三大アイテムと言うのがあります。
「クフ王のピラミッド」「パルテノン神殿」「ミロのビーナスです」
柳先生だけではなく今でも美大の授業ではこの三大アイテムを使います。
「それ絶対おかしい!生徒に嘘教えるんじゃないよ高い授業料とって!」
と言うのが結論、テーマです。

それに気づかされたのはマリオ・リヴィオ著「黄金比はすべてを美しくするか?」です。
前回の問題解けなかった文化系の私たちでも理解出来る箇所が多いのです。
興味ある項目をいくつか上げます。
「レオナルド・ダ・ヴィンチは黄金律比を知っていたのか?」
ここではダ・ヴィンチの生い立ちから始まってダ・ヴィンチは(ルネッサンス時代)に数学者がいて黄金律比を知っていた。しかし、、、」

それでは黄金比の歴史から始めましょう。
今日の登場人物はユークリッド、どういう人かは便利なWikipediaで、、、
紀元前330年頃から紀元前275年、ユークリッドさんの書いた言論 と言う本ギネスブックに載る程の世界第二位のロングセラー、第一位はお分かりですよね、聖書です。
「何でそんなロングセラーなのか」って?私たちカメラマンが卒業した学校では関係ありませんが、この本全世界の理数系大学では教科書になっているのです。
「言論読まずして数学は語れない」と言う本だからです。
この言論13巻からなっていますがユークリッドさん自身が書いたのは一部です。ほとんどはユークリッドさんがお友達から聞いた事をまとめた本です。
彼は数学者と言うのではなく偉大な数学の教科書の編集者だったわけです。
一般的に知られているユークリッド幾何学はこの言論の中の幾何学に関してお友達に聞いた話をまとめた巻の事を指しています。
教科書を見て下さい。第5巻に『比例論』と言うのがありその中に彼自身が書いた問題があります。

ここに任意の直線ABがある。
この直線を分割して外側の比率AB:AXと内側の比率AX:XBが
等しくなるように直線ABを分割しなさい。
外中比と呼ばれる問題です。

この問題分かりますか?これが黄金比です。
 例えばAX:XB=1:1にするとAB:AXは2:1になってしまいます。
解けないのが当たり前、解けたらカメラマンやってません。
便利なWikiさんに外中比出ています。http://bit.ly/aOu9MC
でも分からないですね。この続きは『黄金比その2 ” Gorld Finder “』でお話しします。